【潮汐のしくみ】
※大潮の場合
※小潮の場合
【干潮、満潮】
海の水面の高さが高くなったり低くなったりする事を「潮汐」といいます。
水面が高くなった時を満潮(高潮)、低くなった時を干潮(低潮)と呼びます。満潮と干潮の水面の高さの差は時間や場所によって違い、数メートルに及ぶ事もあります。潮汐は一定の周期性を持っていて主に月と太陽の引力の影響を受けていると考えられ、影響は月の方が大きく太陽はその半分程と言われています。


※地球と月。引力と遠心力による釣り合い ---赤矢印は遠心力。緑矢印は引力---


天体は様々な重力に複雑に影響されあっているので一慨に言う事はできませんが、地球に強い影響力を持つと考えられる「月」に着目した場合、地球とは右図のような形でつり合っていると考えられます。地球に比べると月の質量は小さく、お互いの重心は月の重心よりも地球の重心の方向へ偏りながらお互いに回っているのです。
見かけ上(特に地球上に住む私たちからは)月は地球の周りを単純に回っているように感じられますが、実際のところ地球も月の重力の影響を受けながら月の周りを小さく回っているのです。
(図:月の公転を抽出)
※地球にかかる力。「地殻、水」のモデル

 この時、地球は常に「月の引力」と「自身の遠心力」に引き延ばされる方向にパワーがかかることになります。実際は地球自身の重力が最も強力に存在する為に引き裂かれたり水が地表を離れる様な事は無ありません。「月の引力」と「遠心力」は地球の重心付近でつりあっていますが、一方で月に面した側は遠心力より月の引力のほうが若干強い為に月の方へ引き延ばされ、その反対側では月の引力より遠心力のほうが若干強いため逆の方へも引き延ばされる現象が起こります。


地球の表面に存在する代表的な流体とも言える水と、それより個体に近い地殻とを比べると、水の方が変化の度合いが大きく、この差が大きくなる領域を満潮、比較的少ない領域を干潮と言っています。
(実際に潮汐力は地殻そのものにも作用して、膨らませたり縮ませたりする程にすごいものです)


※一日(一回転)での干潮満潮。


 このように、月との重力干渉でできる水と地殻の変化の差が発生する中で、地球そのものが一日に一回自転します。(一回転が一日。当然すね。)

つまり一日(だいたい24時間)にほぼ2回干潮と満潮は繰り返される事になります。

※満潮から干潮へ移る時・・・上げ潮
 干潮から満潮へ移る時・・・下げ潮 と呼んでいます。
参考:現実には月の北中や南中に対して満潮が遅れる理由
上記の説明だけを見ると満潮の時に常に月は南(北)に存在している事になりますが、実際には月の南中(北中)とは平均しておよそ6時間程度のズレが存在します。これには主に地球の自転
や海水の粘性、摩擦、海底の地形などの影響が大きく作用しているようです。図のように満潮と干潮の領域が押し遣られているとされます。(この時間差を「月潮間隔」と呼びます。)
※月の地球一周(29日)の潮汐
【大潮、小潮】

潮汐には一日の干潮満潮の差が大きい日と小さい日があります。これには月に次いで影響力の強い太陽の重力に関わりがあります。月と太陽と地球が一列に近い時には、変化の偏りが大きく現れる大潮になり、月と太陽と地球が直角に近い場所に位置している時には、変化の偏りが比較的少なくなる小潮になります。
こちらも、月が一周(平均して約29.53日の周期)する間に大潮と小潮は2回ずつです。
(実際の大潮と小潮の最高時は3天体の一列の時や直角の時とはそれぞれ2日程度遅れます。)
通常、新月(月齢0)や満月(月齢15日前後)の頃に大潮となり、 上弦の月(月齢7日前後)、下弦の月(月齢22日前後)の頃に小潮となります。

 ※本来、潮汐を計算し予測するには、非常に複雑な計算を伴い、その計算を行なった結果でも実際の潮汐と照らし合わせると1時間以上もずれてしまう事もあり、正確に予測することが困難なものだそうです。しかし昔から月と潮汐現象には密接な関係がある事を知り、経験でおおよその傾向を把握してきました。
たとえば、
関東近海の例では、大潮(新月、満月の前後)の頃は朝と夕方の頃に満潮になり、正午と深夜0時の頃に 干潮になります。逆に小潮(上弦、下弦の月の前後)の頃は、朝と夕方の頃に干潮になり、正午と深夜0時の頃に満潮になります。そして、1日で約50分ずつ満潮(や干潮)時刻がずれていきます。満潮時刻や干潮時刻をぴったり予測する事は困難でも、このような おおよその予測は比較的容易にできるようです。

●潮位の情報(気象庁)