【ライディング:V】

〜ボードの加速〜クルージング〜

◎ウイングとボードの加速

 乗り込みスタート時に,うまくスピードに乗せることが出来れば必ずしもやらなくてもいいですが、
その時の道具のチョイスや風のタイミングによってはボードにスピードがうまく乗らずに、
ウイング自体が切れ込むスピードにボード(とライダー)が置いて行かれ、じわりとパワーゾーンから外れて
カイトパワーも緩んでいってしまう場合があります。

 そんな時多くの場合、画のようなウイング操作で対応する事になります。
ウイングがライダーからは単純に上下に動くように見え、端からは波形を描いて動くように見える状態です。
 こうして振ってやるとカイトパワーを増加させる事ができるので、ある程度のスピードが出るまでは、
この操作を続けながらライディングする事になると思います。
 そのある程度のスピードとは、ウイングを振らずにライディングが続けられる位のスピードの事です。

 この操作はウイングを上下に振る都合上、カイトパワーには強弱の脈動が生まれている状態だと言えます。
この状態では、パワーのピークやボトムの時に風下に不意に引き抜かれたりしがちです。
又、意識も視線も進行方向よりもウイングに注がれがちになるので、
安定したアップウインドとなると難しい場合が多いかと思います。

 この状態は安定したライディングと呼べる状態ではないので、なるべく早くスピードを引き上げてやりたいところです。
ボードはなるべく風向きと直角方向(アビーム方向)を意識して当て、
とりあえずはボード面の対水スピードを上げる事を重点に意識してやります。

 この段階から欲張ってアップウインドを意識してボード操作してしまうと、それがかえってブレーキとして働いて、
一生懸命ウイングを振ってるのにスピードが出ない状態をズルズル続けてしまう事につながります。
逆に、ボード方向が風下に向きすぎてしまっている場合でもパワーは逃げてしまい、スピードが出しにくくなるか、
もしくは風に押されすぎて加速し、一気に暴走してしまう事がありますので注意が必要です。
(どの状態になるかはその時の風速、ウイングサイズに大きく左右されます)

 大きい(滑走面の広い)ボードの場合は低速でもプレーニング状態になり、スピードもすぐ引き上げやすいので、
あまり上記のような状態を意識しないでライディングが成立してしまう事が多いです。
ところが、小さいボードでライディングする場合には通常のライディング時のスピードレベルを高めに引き上げないと
安定したライディングは望めません。

振らないと走らないような低速時には、ボードのアビームキープは有効なコツのひとつだと言えると思います。

◎ウイングのロックドイン〜クルージング

効率的なエッジングができると考えられる
カイトの角度

 カイトは、ボードにスピードが十分についていて正しいエッジングがされていれば、特にウイングを振らなくてもライディングが成り立つようなパワーをもたらしてくれます。

ボードにスピードが乗ってきたと思ったら、ウイングを進行方向から空気を迎え入れる形、角度にして安定させます。
カイトの角度(垂直カイト角)はだいたい45°ぐらいの位置になるようにします。

そして、「カイトから伝わってくるパワー」と「ボードが水面を捉える乗り味」との間で,、「姿勢のバランス」を取りライディングを安定させます。
その時、パワーの増減やボードの加減速など、ライディング中に実感できる事は様々です。

 それらを鋭敏に全身で感じ取るようにして変化を予測し、ウイングのポジションやボードの踏み方を調節していきます。

 大自然との一体感をスピードに乗せて感じながら、力加減などの小さな試行錯誤をドンドン積み上げていく事で、より安定したライディングが自分の物になっていくかと思います。

 この、体の姿勢やバランス、カイトを安定させながら滑走を保つ事をクルージングと言っています。
(場合によっては、その現象自体を捉えてプレーニングと呼ぶ事もあります)

[目線]=[進行方向]


 コントロールバーの左右どちらとも引き込んでいない状態のゆがみの無いウイングはきれいに風をはらみ、パワーも脈動が無く安定したものになります。
 このような状態をロックドイン(の状態)と言い、翼そのものといえるカイトが最も性能を発揮する状態だと言えます。

 この状態になってから尚、パワーが緩んできてスピードも落ちて来るような場合には、ボードスピード(初速)が十分でないかもしくはエッジングが甘く、風下に進んで行っている事などが考えられますので、ボードのエッジングを見直すかウイングを再度振って加速するなどします。

 ライディング中は極力、特にロックドインでのクルージング中は、頭の方向と目線は進行方向、水平線をしっかり見て、ウイングは目の端でその存在を捉える程度を心がけます。
 
この目線は進行方向に対して自分が上っているのか下っているのかある程度正確に把握ができ、状況に応じた適切なボードのエッジングを少なからず助けるので大切です。


◎ハンドポジション
ハンドポジション(ヒールサイド時)
 基本的な体勢であるヒールサイドライディングの時ですが、カイトボーディング特有の“ナナメ”の身体感覚がしっかり身に馴染むまでは、ウイングの位置を一定方向にキープしロックドインできたあたりで、常にコントロールバーのセンターを両手を寄せて持つのを意識するのもいいかと思います。

 このハンドポジションは
  • @体勢のブレなど、コントロールバーへの不必要な入力ミスからくるウイングの挙動の乱れが少なくなる。
  • A両肩の水平も保ちやすくなり上半身のポジションがぶれにくくなる。 →(脚部を中心とした下半身のボードのエッジング操作に集中しやすくなる。)
  • Bウイングの迎え角の微調整がしやすくなる。  
といったように、ボディポジションやライディングそのものを安定させやすくするコツのひとつだと思われます。

 アンフックでのライディングの時や、ウイングのポジションをあまり変化させずに大きく体勢を変化させるような技をする場合などにも、バーの真ん中辺りに手を添えカイト操作を行うのはかなり有効なコツです。



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