【エアリアル】

〜ボードスポーツ中、最長の滞空時間〜


ライディング中にウイングを上方向に振る事で、乗り手はカイトに吊られて飛ぶ事ができます。
このようなカイトの特性を利用したジャンプの事を、「エアリアル」もしくは「エアー」などと呼んでいます。
特に水上でのカイトボーディングでは、水深が十分ある場所では着地(着水)の時などに安全性が高く、
その高さをより大きく取れるので、普段の生活では考えられないような感覚を味わう事が可能です。
始めはカイトにパワーが掛かりすぎない状態から、
ウイングに発生する揚力を主体にしたエアリアルを実感してみます。

◎ウイングを高い位置でキープ、さらにエッジングもキープ。

ライディング中にカイトを高い位置にもってきた状態で、
エッジングを維持する練習をしておくといいようです。
しっかりエッジングの効いたライディングから、ゆっくりとウイングを天頂方向に持って行きます。
この時ウイング角は、なるべく進行方向に向いている様にします。
ウイングは上の方向に持ってくるに従ってエッジングが難しくなりますが、
その時のカイトから受けるパワーに対して身体の傾きなどを調節して、
ライディングの方向をなるべくアビーム方向にキープし続けられるようにします。
この状態でのライディングが低速になるのは、ある程度仕方が無い事です。
まずはそのライディングをキープする事を覚えます。

◎エアリアルのカイト操作と挙動
いよいよエアリアルの操作に入ります。

ウイングをだいたい50°より高い位置に、進行方向をアビーム方向付近にライディングをキープ、それからウイング角を本来の風向き方向に向けて“フワっ”とひるがえします(※1)。

この瞬間ウイングは風向き方向から風を受け、乗り手には上方向に引き抜かれるようなパワーが掛かるのが分かると思います。そのパワーのタイミングにあわせてエッジングを水面から抜いてやる事で、乗り手はカイトによって空中につり上げられる(飛ぶ)訳です。

最初の頃、上方向に引き抜かれるようなパワーが掛かるのは分かっても、エッジを抜かなければならないはずの肝心のボード側では、まるで水面に張り付いたかのように感じる事も多いと思います。

これまでの練習のなかでは、ボードとウイングとの間でバランスを取る事を第一に慣らしてきた事と思いますが、このエアリアルの時は、思い切ってカイトのパワーだけに身を預ける事に感覚を慣らしていきます(当たり前と言えば当たり前ですが)。

エアリアルは、ホップの踏切をタイミングよくあわせてやる事でより高く飛べますが、最初はなかなか難しいです。
まずは、ウイングをひるがえして上向きに引かれるのと同時に、鉄棒の「逆上がり」っぽく、足を体の前に折り曲げて、ボードを水面からはがすようにするといいかと思います。あとはそのまま、ケツから着水するくらいでちょうどいいです。変に体に力を入れないでいれば、着水時にニュートラルポジションになっているはずなのでそこから改めて再スタートするようにします。
この段階では、なかなか思う様な高さは出ないかと思いますが、そんな練習の中から「カイトだけに身を預ける感覚」に慣れていけばいいです。

次に、ある程度飛んでいる感覚がわかってきたら、その頂点付近でカイトを進行方向に振り戻す操作を加えます。飛ぶ時は進行方向と反対側のバーを引いて飛びましたが、エアーの頂点付近で進行方向側のバーを引き直す訳です。そうすると着水してからすぐにライディングの状態に戻る事ができます。
この操作を加えると乗り手にはさらに、風下水平方向に引っ張られる力が加わりますが、あわてないでしっかり着水する位置を見るようにします。
この操作を加えた場合には、ボードでちゃんと着水しないとつまずいて水を飲む事になるので、立った状態での着水にも同時に慣れて行きましょう。
 着水まではボードのノーズはウイング方向に向けておいて、着水してからすばやくアビーム方向に向けてやると、つんのめる心配が無く気持ちにゆとりをもって着水できます。ホップの着水の時と同じです。
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さて、ウイングをひるがえしたり、振りもどす時のバー操作のコツですが、あまりバーの端を持って急激に力を掛け過ぎないように心がけます。急激に力を掛けてしまってウイングがねじれすぎてしまうと、せっかくウイングにはらんだ風が乱れて、上に引き上げられるパワーを殺してしまう事があるからです。

これには、なるべく脇を締めながら、バーの中心付近を持って手首で操作するようにするとうまくいきます。
同時に、シーティングライン上でバー全体を引き絞って、ウイングの風に対する迎え角をきつく取ると滞空時間がのびます(※2)。
手や腕などに負荷が掛かる(※3)と思いますが、失敗が少ないやり方なので当面それで慣れていきましょう。

さらに、ホップのタイミングとウイングに引っ張られるタイミングを同期させていったり、エアーの前の進入スピードを上げていく事で、「より長い時間」「より高く」「より遠くへ」飛ぶ事ができます。

以上を段階的に、50センチ、1メートルと高さを稼いでいき、エアリアルになれていきます。


これがしっかり意図的にコントロールできるようになっておかないと、これ以後の回転を加えたり、ボードをグラブしたりといったトリックは更に難しいものになります。
逆に、しっかりできていればゆとりのある滞空時間のなかで様々なチャレンジが可能になるといえます。

このエアリアルの練習には常に「どっひゃー!」という思いをする事になりますが、この「どっひゃー!」がカイトボーディングの楽しさのキモです。どんどんチャレンジしてガンガン楽しみましょう。


結局のところ何が言いたいかと言うと・・・・・みんな!ガンバレ!


※1:進行方向反対側のバーをく引いてやる操作になります。

※2:普段のセッティングにもよります。

※3:バーの入力には大きな力必要になります


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