【水に落としたカイトをもう一度揚げる】 〜インフレータブルカイト用の技術〜 |
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カイトボーディングはその時間のほとんどが、水上でカイトを揚げているので、ちょっとした油断や操作ミスなどでウイングを墜落させてしまう事があります。 カイトの扱いに慣れてくれば、その日が終わって気が付いてみると一回もウイングを落とさないで濡れてすらいなかった・・・ なんて事もあるにはありますが、初めて間もない場合や、未経験な技の練習にチャレンジする場合にはウイングを落としてしまうのは当たり前、と言える程です。 そんな水上で落としてしまった場合でも、 コントロールバーが手元にあり、ラインに複雑な絡みやウイング自体に破損が無く、 揚げられさえすればすぐ乗れる状態である場合、そこからのランチングはかなりの確率で可能です。 落とした場合に最も良くあるパターンが、 ウイングのリーディングエッジ(前縁)から水面に刺さったような形で着水(墜落)してしまう場合です。(※1) 一度こうなってしまうと、普通にコントロールバーを操作する程度ではカイトは揚がりません。 そのような状態からの、自力でのランチング、 つまり、水に一度墜落させたカイトを再度一人で揚げる技術の事を ウォーターリランチ(リランチ)と言っています。 カイトボーダー、特にインフレータブルカイトを使う人には必要な技術です。 ここでは、ある程度のコツが必要とされる“一般的なインフレータブルカイト”(※2)の ウォーターリランチについて紹介していきます。 (方法としては他にも幾つかあるうちの一例ですが、考え方自体は共通です。) リーディングエッジから着水した場合以外は、特別な手順を踏まないで普通の操作で揚がる場合が多いです。 |
※1: ウイングに風ははらむものの、ライディングに不可欠とも言える「翼としての性能」が完全に死んでしまっている状態にあると言えます。 この時の状態の説明として、風によってウイングの形状抵抗のみのパワーで風下に引っ張られています。(水の抵抗はこの際、無視) しかし、ライディング時のように、強烈に引っ張られるという感覚は、あまり感じる事はありません。 この事から、翼形状が生み出すパワーのすばらしさや、危険度が推し量れるかと思います。 ※2: 最近、インフレータブルでも、「簡単ウォーターリランチ」を実現しているカイトも出てきちゃいました。 そのしくみは特有のメーカーのパテントである可能性があるので、すべてのカイトに実装される可能性は少ないかも知れません。 今後の新製品情報は、要チェックですね。 |
◎実際の手順とラインの扱い方。 |
チキンループはフックしたままだったり、外したり。 ただ、余計なラインの絡まりだけは無くしたいので、その時の状況にあわせます。 時間を余り置かずにウイングは、自然に風下に流れていきます。 これ以後、コントロールバーだけでなくラインをじかに握って操作する事が必要になってきます。 ラインは絶対に、指や腕など身体の一部に巻き付けない事。 波に巻かれたり、ウイングが空中に放出されたりして、突然パワーを取り戻した場合にラインを巻いていた部分にケガをする恐れがあるからです。 (最悪、指などでは切断にまで至るようです) |
ウイングが風をはらんだ状態のまま、ラインにテンションが掛かる様にピンと張らせます。 水底に足が着くような場所であれば、コントロールバーを頭上に掲げる様にしながらラインにテンションをかけ、少し後ろに下がる様にしてやるといいです。 足が着かない様な場所では、後ろに下がるのはまず無理なので ラインを直に握り、手早く均等に手繰り寄せるようにやると調子が良いようです。 |
※ウォーターリランチは、風が弱い場合やハイアスペクトカイトではどうしても出来ない事があります。 風が弱いと必然的にそれにあわせた大きなウイングを使う事になり、テンションを緩めた位では、ひっくり返らない場合があります。 そんな場合は・・・、 ラインをたぐって(流されながら)回収します。 カイトボーディング「涙の瞬間」のひとつです。 |
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ウイングが風をはらみ、十分にラインにテンションが掛かったら、「瞬間的に」掛けていたラインのテンションを緩めます。 うまくテンションを抜く事が出来れば、風をはらんでいたウイングはちょうど背の部分を水面に接した状態に裏返ると思います。 足が着く状態であれば、頭上に掲げていたコントロールバーを身体の前に突き出すと同時、もしくは、手繰り寄せていたラインを放すと同時に、ウイングの方向へ飛びつく様に動くと、うまくひっくり返るかと思います。 足が着かない状態では、手繰り寄せていたラインを放すと同時に、ウイングの方へなるべく泳いでやります。足が着く場合ほどに自由にという訳にはいきませんが、何とか裏返るように頑張ります。 この方法以外にもやり方(※3)はありますが、 最初にやる事としては とりあえず「ウイングを裏返った状態にする」 のが大切です。 ウイングが裏返ったら、ウイングはすぐに元のUの字型を取り戻し、風に流れてどちらかに傾いていくと思います。 この時あまりラインを能動的に引っ張らない様に心がけ、なるべくウイング任せにする方が良いです。 |
※3:他にもウイングの片端から伸びるフロントラインとバックラインを同時に手繰り寄せ、ある程度たぐったら手を放し、もう反対側のフロントラインとバックラインを同じようにたぐるといった様にする方法もあります。 ※一般に、ローアスペクトのカイトはハイアスペクトのモノに比べて、構造的に裏返りやすい傾向にあります。 他にも、メーカーや種類によって適した方法があると思いますので、いろいろ試しながら最適な方法を見つけましょう。 |
ウイングがどちらか片方に傾き始めた時にも、ウイングその物は、本来パワーゾーンである位置にあるかと思います。 ウイングがパワーゾーン内にある時の基本的なラインさばきとしては、 水面に近い側のラインを手前に引き、水面から遠い方のラインは送り出すようにして緩めてやるのを心がけます。(※4) この時同じ側のフロントラインとバックラインの2本を、まとめて掴んで引いてやるとうまくいく事が多いです。 |
※4:このライン操作は、ウイングは早く空中に揚げてしまいたい気持ちからすれば、通常とはちょうど真逆の操作とも言えます。 | |||
はやく水面から遠い側を引いてしまいたいところですが、それをやってしまうと上側だけが風をはらんではしり、水面側でつまずいた様な形でリーディングエッジから突っ伏す「最初の状態」にもどってしまいますので気を付けましょう。 ウイングがパワーゾーンから外れるまでの間だけはウイングの姿勢を真横に向け、適度に風がはらむように左右のラインを引いたり緩めたりしながら、その姿勢を保つ事に集中します。 あとは、ウイングが自然に風上に向かって移動してゆくかと思います。 |
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パワーゾーンをある程度抜けて来たら、普段の操作が効くようになってくるので、通常のラウンチングと同じくウイングを水から引き離してやります。 この時、陸上でのラゥンチングのセオリー通りに、ウイングがウインドウェッジまでいくのわざわざ待たなくても良いです。 水上での事なので多少引きずられる事があっても、危険は少ないからです。 その辺りは現場の判断です。臨機応変でOK。 |
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